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大連市の社会福祉事業の現状と方向

 視察初日の夜は日曜であったので、市当局関係者との話は市内の日本料理屋kでということになった。出席者は、R教授と関係の深い市の民政部長、市が進めている外部福祉組織の準備室長(日本の国立大学へ留学経験あり、2級ヘルパーの資格を有している)と通訳のG嬢、小生の5人である。テーブルに溢れた料理を前に、食べる間を惜しんでいろいろと質問をする。

Photo_9  大連市では、全国に先立って先進的な取り組みを進めているということであった。具体的には、以下の10事業を積極的に進めていくという方針である。①機構養老模式(福祉施設)②居家養老模式(訪問介護)③貨幣化養老模式(利用券)④日托養老模式(デイサービス)⑤小型家庭養老模模式(宅老所)⑥昇地互助養老模式(中期移住)⑦養老助教模式(文化教室)⑧暖巣菅家模式(デイサービスなど生活援助)⑨信息化養老模式(情報サービス)⑩合資合作養老模式(外資導入)というように多様なサービスの整備を進めている。

 大連市の2006年7月発行の各種養老機構一覧表を見ると、①の機構養老模式は約100か所、ベッド数は12400床。②の居家養老模式は約40か所。④日托養老模式は約10か所。⑤小型家庭養老模模式は約20か所。⑧暖巣菅家模式は8か所と全市で60歳以上の高齢者が83万人をかかえる現状においてはまだまだ不足しているとのことである。今後、これらを整備していくために「大連市社会福利機構管理暫行方法」によって設置基準や運営基準等の法的な枠組みをしっかりしていくということであった。

 最近は日本をはじめ諸外国からの視察も多く、その対応に追われているとのことであった。日本からの合資・合作による進出も大歓迎であるとのことである。その中で市の部長が言った話が印象的であった。「日本からはいろいろと視察が多く来るが、いずれも調査段階でその先の一歩をなかなか踏み出さない」ということであった。その事例として、携帯電話も早くからドコモが中国進出の機会をうかがっていたが、参入機会を逸し今ではサムソンやノキアに先を越されている。自動車においても、最近はトヨタ、ホンダを初め進出が盛んであるが、フォルス・ワーゲンは20年以上も前から本格的に進出し、先行者利益を享受している。日本は慎重すぎるのではないか。という感想であった。確かに日本では中国でのビジネスはかなり難しいとの失敗事例や風評が多く語られており、中国が人治主義から法治主義に徐々に転換していることを忘れているかも知れないのである。福祉市場でもやはりハイリスク、ハイリターンで先駆けるタイミングが来ているのかもしれない。

 蛇足ではあるが、日本料理店は1人200元(約3000円)、2時間の食べ放題であわびやうに、車えびなどの魚介類がテーブルに乗り切らないほどであった。また、長城ワイン(赤)を頼んだがその飲み方は、氷を1~2キューブ入れるか、レモンを1切れ入れて飲むという日本とは異なった飲み方であった。所変われば品変わるといったところである。

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小型家庭養老院

大連市社会福利院の視察のあとは、中山区内の小型家庭養老院の視察である。日本のグループホームのようなもので、個人宅で数名の高齢者を入所で世話するものである。ところが散々探して訪ねたところ、運悪く連絡の行き違いで、玄関までで中には入れなかったのである。そこで文献データでその概要を紹介しておく。

Photo_8 大連市内では、民営で22か所、計327床の整備がなされている。これまでのものは、いわば試行段階のもので、3階にあったり、20床以上のものがあったり設置開設に対して基本的な基準が定められていなかったが、これまでの展開事例を参考に2006年5月に基本規範が制定された。

その内容をみると、設置者の自己所有の住宅(大連の住宅相場は㎡単価40001万元である:住宅の購入は日本円で7001600万円くらいかかる)において、介護、日常の世話、リハビリなどのサービスを提供する。エレベーターの無い場合は、1階または2階の設置に限る。暖房設備を有していること。基準面積は100㎡以上で、一人あたり10㎡以上、ベッド数は6~15床以内。厨房、トイレ、洗面所、風呂などの基本的な設備を備え、清潔であること。その他、非常口等の案内表示が2か所以上あること。また、設置に際しては近隣の同意を得ることとなっている。また、申請者の年齢が50歳以下と定められている。

人員基準も利用者4に対して従事者1以上と定められている。運営基準も高齢者の状態に応じた食事、見守り、定期的な消毒、食中毒の防止、室内の衛生保持、換気など高齢者の衛生管理を定めている。思った以上にかなり細かい規定を定めその高レベルの介護を促している。

利用料は設置者が施設のグレードによって自由に決定できるため、事業者ごとに少し異なるがその設定には根拠を示したコスト計算書を市の物価局に出し、認可を受けなければならない。概ね3段階あり、自立度の高い軽度の人が月800元、要介護の中度の人で月1000元、もう少し介護の重い重護の人で月1200元となっている。

一方で、介護従業員の雇い入れを一人月1000元と仮定すると、いわゆる医療、失業、年金、住宅基金などの社会保険関係で雇用者負担が43%、個人負担は23%が控除される。会社側の支払い総額は1430元であるが、本人の手取りは770元になり、各種保険等の負担率はかなり高い。

しかし、大連市では社区と連携し、在宅でのケアを進めていく方針からこの小型家庭養老の整備を今後も促進していくとのことであった。

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